思い込む、ということは。
この世において最も恐るべきことである。
世界は二つに分かれている。
陽の当たる世界と、陽の当たらぬ世界。
即ち日常と非日常。陰陽は両儀として世界の理として在り、或るものはその境を砕くため、或るものはそれを護るため、刻まれた力を振るうもの。
だが、光に住まう者が、光の尊さを忘れるように。
闇に住まう者程、闇の深さを見通せぬものだ。
日常と非日常。そのいずれにも当てはまらぬものが育つのは、誰にも知られぬ月の裏側こそが相応しく。
故にこそこの物語は、如何なる結末を迎えようとも……誰にも知られることなく始まり、そして終わりを迎える物語である。
舞台は日本関東のY市。
そこは表で平穏を護りつつも、裏では複数のFHセル、ギルドが猖獗を極める激戦区でもあった。かつて半壊したY市支部の復旧によって徐々に秩序を取り戻しつつあるものの、刻まれた傷跡は深く。
その深く刻まれた傷跡の中で、歪みは誰にも予期せぬ形でそれを広げ続けていた。
膨張する歪みが爆ぜる、その間際。予兆はある男の死によって雷鳴の如く轟いた。
科学者アーチボルト……『電人』の異名を取るUGNの高名な科学者が、FHの者の手によって殺された。
その報を切っ掛けとして、様々な勢力が弾かれたように動き始める。
まるでそれは、誘蛾灯に導かれる蛾のように。
しかし、餌に誘われたものの末路などいつの世も知れている。
遠い日の追憶。碩学の妄執。昔日の回顧。非日常への渇望。
BLUE LIMBO
様々な思惑を載せたまま、夢みる奇械は磁場を駆ける。
役者は揃い、舞台は整い、ここに夢が叶うとき。
あなたが伸ばした手は何を掴むのか――
ダブルクロス The 3rd Edition 《The dark side of the moon》
ダブルクロス───それは裏切りを意味する言葉。
PC①:揺り籠から/新参エージェント
ロイス:『”マスターイグニス”』 推奨感情:○執着/任意
カヴァー/ワークス:指定なし/UGNチルドレン
出自『姉妹』固定
Dロイス指定(推奨):なし
ふと、目が覚めた。
あなたは幼い頃にオーヴァードとして目覚め、深い傷を負いながらも、義理の姉をはじめとする人々の助けを受けてUGNで育ったUGNチルドレンだ。
あなたは、目覚めて間もない自分を親身に見てくれた義姉と、大切な時間を過ごした。実の家族を置いて、はじめて家族が出来たような充実感に満ちていた。
だが彼女は己を置いて姿を消した。何故か、何処へか。その答えは、まもなく起きたFHのY市支部襲撃事件によって否応なく示された。
……その後。支部の立て直しと当人のメンタルを慮っての配慮か、出撃が控えられていたあなたは、久方ぶりにエージェントとして復帰し、任務を享けることとなる。
新しい後見人、PC③との共同任務。それはFHとギルドの間で亡き研究者、アーチボルトの残した遺産『ギプノーザ』という用途不明の機材の取引現場に直行し、これを抑えるというものだった。
互いの戦力差から考えて、比較的安全な任務であった。新参で、ブランクがあったとて、優に生きて帰れるだけの自信はあった。
だがその予想を裏切るように事態は混沌の様相を呈していく。
最早収拾のつかない事態に陥り、撤退の二字を思い浮かべたその時。
嵐のように混戦を極めるその中で、一際あなたの中で目を引いた存在があった。
それは、自ら生み出した紅蓮の炎を背景として佇む、一人のFHエージェントの姿。
FHエージェント、『マスターイグニス』。
……忘れようはずもない、かつてUGNを離反した、あなたの義理の姉であった女性だ。
PC①:天貝華凛(あまがいかりん)
PC②:ギプノーザの使い/こぼれおちたもの
ロイス:『"電人"アーチボルト博士』 推奨感情:任意/憎悪〇
カヴァー/ワークス:指定なし/指定なし
経験『記憶喪失』固定
Dロイス指定(推奨):『実験体』『複製体』『変異種』のいずれか
あなたは『実験』の被験者である。
出来損ない。その烙印を刻まれて、見も知らぬ研究施設からあなたは抜け出してきた。
何のためにこの身を捧げたのか、何のために生まれたのか、今となってはそれすら分からず。ただ……この身はアーチボルトの手によって変異させられ、『アーチボルト博士を探す』という目的意識だけはしっかりと頭に焼き付いていた。
その執着が殺意によるものか、義憤によるものか、異なる目的があるのか、それは人となりによって異なるだろう。間違いないのは、アーチボルトという男があなたを作り、それを失敗作として『処分』しようとしたという、厳然たる事実である。
だが、それは叶うことはなくなってしまった。アーチボルトの死という、この上ない喪失によって。
失意のうちにあなたは街はずれを彷徨い、周囲の状況にも気付かずに来るべき場所にやってくる。
FHとギルドの交渉……『ギプノーザ』と呼ばれる何某かの取引現場に、あなたは偶然居合わせるが……
その時、あなたの裡に眠る何かが、まるで共鳴するかのように蠢き始めた――
PC②:卜部影路(うらべえいじ)
PC③:サイエンスの幽霊を追い/中間管理職
ロイス:PC① 推奨感情:〇信頼/不安
カヴァー/ワークス:指定なし/UGN関係者
Dロイス指定(推奨):なし
あなたはPC①の上司に当たる人物である。PC1の義理の姉が突如としてUGNを去った後、彼/彼女を教え導く立場となった。
あなたは時として後輩を振り回し、或いは振り回されて、事件にあたっていく。
あなたが担当するのは、殺害されたUGN協力者、電気工学の権威『"電人"アーチボルト』並びにそれを興りとして発生する研究成果絡みの事件であった。
年長者として卓越した技法で事件の後を追うにつれて、あなたたちはこの街に由来する様々な怪異を体験させられることとなる。
やがて電人アーチボルトの、常識から外れた発明品と、その周囲で次々と巻き起こるオーヴァードの常識からすらも遥かはみ出た『異常』は……
あなたを『組織の人間』という立場から否応なく引きはがし、一人の人間として向かい合わせられることになるであろう
PC③:舘川徹次(たておかてつじ)
PC④:Keep yourself alive/イリーガル
ロイス:『”メッセンジャー”』 推奨感情:〇好奇心/不信感
カヴァー/ワークス:指定なし/レネゲイトビーイング(※推奨。任意に設定してよい)
あなたはイレギュラーである。
UGNとFHの非日常の対立から一歩身を引き、レネゲイドビーイングの組織『ゼノス』の一員、ないしその動きを調査する人間であり、基本的に市外で活躍する人物だ。
『ゼノス』は元々それぞれの繋がりが薄いフラットな組織であるが、あなたはことに"メッセンジャー"と名乗る一人のレネゲイドビーイングの少年と深く関わりを持っている。
毎日暇潰しを探しているような彼は、珍しく乗り気な態度であなたに誘いかける。
何でも……基本的に直接命令を下すことをしないプランナーから、珍しく『指令』が飛んでいるそうだ。
その内容に曰く「現地協力者と共に、博士の残した『モルフェウス』を探せ」という、いまいち具体性に欠けた、彼女らしからぬ指令であった。
最初は手間は掛れど容易い任務であると、あなたはそう考えていたことだろう。だが……メッセンジャーと共に街に辿り着くと共に、あなたは気付かされる。
この街はおかしい。この街は致命的な部分が歪んでいる。こんな場所でただ日常が展開されていることそのものに戦慄を覚える程の、極大の違和感があると。
日常の影、非日常の住人ですら頑なに触れぬ禁忌が眠っている。
そして……その違和感を確たるものと悟った時には、もう既にあなたは戻れない場所にいた。
PC④:ブライ/宮本和彦(みやもとかずひこ)
かいつまんで言うと
PC①:シスコン主人公 みじゅく
PC②:影の主人公 あらがえ
PC③:まとめ役 がんばれ
PC④:しぬがよい しぬがよい
あと今回の環境について。
・経験値想定:初期作成(フルスクラッチ)+20 = 150点
(※1~2回分のセッションを終えた程度のキャラクターを想定)
・採用サプリメント
基本ルールブックに加えて、
【エフェクトアーカイブ】【リンケージマインド】【上級ルールブック】の三つを採用。
また、Dロイス、Eロイスなどのルールは前者二つのルールブックを参照するものとします